ドラえもん新作劇場版が警鐘を鳴らす

実は最近、主人の仕事の関係で、ドラえもんの新作劇場版「のび太と空の理想郷(ユートピア)」のムビチケが手に入ったので、成人して以来初めて観てきました。

ドラえもん映画を劇場で観るのはまさに小学生以来でしたが、シリーズ42作目となるこちらのドラは画像処理技術も進み、普通に大人が観ても楽しめるクオリティになっていたのですね!

それに加えて、実はちょっと気の利いた「仕込み」があるという噂を耳にしていて、その期待もあったんです。

 

誰もがパーフェクトになれるという空に浮かぶ不思議な「島」(機械都市)を発見したドラえもんとのび太たち。そこでパーフェクトなネコ型ロボットに遭遇した一行はやがて「島」に隠された秘密を知ることになる、というストーリー。SF映画でもよくある感じの面白い展開です。またテレビドラマのサントラで定評のある服部隆之さんが担当するBGMもダイナミックで、全体的にかなり力を入れた企画という印象です。

本当に面白かったのですが、映画が進むにつれなんだか既視感を感じ始めてきます。

 

基本的に「指示待ち」。

周りの人や全体のことを考えるけれど自分の意思がない。

リーダーが決めたことには無条件で服従するのが当たり前。

ルールは絶対で、従わないと通報する。

 

どうですか?こんな特性、どこかでイラッとした経験がありますよね。

まるでこの3年の間、日本を覆ってきていたコロナ騒動で明らかになった日本社会の様子とオーバーラップしてきませんか?

 

脚本でも「ちゃんと自分で考えて!」だとか「すみません、ルールを破ろうとしている人がいます!」など、テレビで報道される政府や厚労省、医師会の発表をそのまま信じ込む、日本社会を思わせるようなセリフが散りばめられており、まさに今の社会への警鐘のような強いメッセージ性を感じます。

大手企業が制作委員会やスポンサーとして参画する「ドラえもん」でよくこの企画が実現したなと不思議な気持ちにさえなってきますが、漠然としたテーマに止めていたことがその理由なのでしょうか。今どき単館映画でも不自然なLGBTやSDGs推しの作品が増えるなかで、この攻めた姿勢の日本製の子供向け映画に、久々に胸がすくような気がしました。

 

まだ自我が確立していない子供や青少年に対して、自粛や長期のマスク社会がその精神の発達に大きな悪影響を及ぼした可能性が問題になっています。今後彼らが将来の日本を動かしていくことになる訳ですから、大きな不安がありますよね。

実際、日本だけここまで言いなりで国民の8割がワクチンを何度も接種し、先ごろ「健康な成人のブースター接種は推奨しない」というWHOの梯子外しがあった現在でも特に大きな混乱のない現状になっている原因は、日本の「上からの指示に従順すぎ、リスクを何より嫌い、周りと同じ行動をとる」などの思考の習慣にありました。だからこれから何より必要なのは、若い世代が「周りに合わせるのではなく自分で考える」ということができるように啓発していくことなんですよね。

 

そういう意味で、ドラえもんのような青少年向けの社会的認知度の高い作品でこういうテーマが取り上げられたことは非常に喜ばしいことだったと思います。実際、このコロナ騒動の3年超で、コロナやワクチンを疑問視するような発信は文化芸術の面でも大変難しい状況だったはずです。今やYouTubeでも内容によってはいきなり動画削除されるような状況で「表現の自由」もなかば形骸化してしまっています。

このいびつになってしまった日本の現状を変えるために、今後もどんどん少しでも影響力の大きい人や作品を通じてこういう発信が浸透していって欲しいですね。